「Wayback Machine」がWebサイト改善施策のアイデア出しに有効なワケ

本記事では、Webサイト改善をテーマに、Wayback Machineを使った施策のアイデア出し、およびその効果について共有します。

サイトの変遷が分かる「Wayback Machine」

BtoBマーケターにWayback Machineは非常におすすめです。というのも、同ツールは、Webサイト改善案のアイデアをひらめくために効果的なツールだからです。インターネットアーカイブと言われている通り、サイトのURLを入力することで、該当サイトの過去の変遷を見ることが可能です。

加えて、下記のようにWayback Machineを使うことで他社サイトの戦略・戦術の仮説を立てることもできます。(表面的な戦略・戦術に止まりますが)

Wayback Machineを使って他社サイトを分析

→その企業のマーケティング戦略・戦術の仮説を立案

僕も以前、ラクス が提供する「楽楽精算」のサイトを分析しています。

※参照:経費精算システムなら「楽楽精算」|国内導入数No.1

Webサイトから戦略・戦術を読み取る

顧客獲得チャネルとしてWebサイトが重要なBtoB企業では、Webサイトを調べることにより表面上の戦略・戦術をある程度読み取ることが可能です。

それも、Wayback Machineを使うことによって

・料金プランの変化

などは分かりやすい分析対象としてあります。

SmartHRの料金プランページの過去と現在を比較

例えば、急成長SaaS企業の代表格である「SmartHR」の料金プランの変化もWayback Machineを使うことで、下記のように変化を読み取ることができます。

2018年2月時点のSmartHRの料金プランページの料金部分

こちらが2018年2月24日時点での料金プランページです。シンプルなデザインで、個人的にはラジオボタンが印象に残ります。

一方、最新版はどうなっているでしょうか。

2019年11月時点のSmartHRの料金プランページの料金部分

こちらが直近(2019年11月11日時点)の料金プランページです。

上記2つを見比べることで、下記のような意図を感じました。(真意は定かではありません)

例えば、

①小規模企業向けと中〜大規模企業向けの料金プランが3つ並ぶ仕様になっている

→ラジオボタンでの切替形式だった過去の料金プランは、恐らく「ユーザーに気づかれづらい課題があったのでは?」と推測。ユーザーはサイトを細かく見ていないので、すぐに分かってもらうことを重視し、現在のデザインに至ったと考えられる

②CTAボタンをファーストビューの目立つ位置に置いている

CV率向上の狙い

③料金プランページ左下にホワイトペーパーのポップアップを表示

→ サイト訪問者数の多い料金プランページに、ホワイトペーパー誘導型のポップアップを表示させることで、リードを獲得する狙い

といったように、仮説を立てることが可能です。

このように他社サイトの観察により、自社サイトにおいても下記のように参考にすることもできるでしょう。

①の観察:「ラジオボタンでの切替形式にするのは良くないかもしれない?」と仮説 → もっと成果の出る見せ方にできるかもしれない

②の観察:CV率向上のために、CTAをなるべくファーストビュー付近や目立つ位置に置くようにする

③の観察:料金プランページに、リード獲得用のポップアップを表示させる

※参考記事:ポップアップ簡単作成ツール「Poptin」の使い方

なお、SmartHRが上記のような施策を行っているからと言って、自社にも最適な解であるとは必ずしも言えません。しかしながら、SmartHRのような急成長企業はWebサイトにおいても高速にPDCAを回しているはず。そう仮定した時、成長企業の優れたサイトを参考にするのは良い手法です。

実際、私は普段からクライアント企業のWebサイト改善に応用できるよう、いろんなBtoB企業のWebサイトを観察しています。

Webサイト改善案を思いつくには、ベストプラクティスのインプット、および普段から多くのサイトを見ることが重要

本記事ではWebサイト改善をテーマに、Wayback Machineを使った施策のアイデア出し、およびその効果について共有しました。

Webサイト改善施策を思いつくには、インプットが重要です。ただし何でもかんでもインプットすれば良いわけではなく、有識者が語るベストプラクティスをインプットしましょう。車輪の再発明をする必要がある場面は限られているのです。ほとんどのケースでは既にベストプラクティスが語られているので、真似できる知見はどんどん吸収するのが良いです。

例えば、こちらの記事はおすすめです。

また、普段からいろんなジャンルのサイトを見ることもおすすめです。優れたアイデアは参考にすることもできますし、反対に「これは良くないぞ」と思ったものは反面教師にすれば良いのです。たくさんのサイトを観察すること以上に、「Webサイト改善の思いつき力」を伸ばすものはないでしょう。

「Webサイト改善施策のアイデアが出てこない!」そんな方はぜひ、Wayback Machineを使うことで、施策アイデアを思いつく訓練をしてみてください。

Wayback Machineを利用する

金森 悠介

本業は、戦略コンサルティング会社の株式会社才流でコンサルタント。2022年夏時点で、15社程度のBtoB企業のマーケティング戦略・施策立案と実行のサポートを中心に、マーケティング担当者の採用から育成まで支援する実績も。現在は、BtoB企業のマーケティング支援、事業企画、営業支援、新規事業の立ち上げを担当。得意領域はコンテンツを活用した認知拡大・リード獲得、MA・CRMを活用したリードナーチャリングと商談獲得までの基盤整備。個人として、SaaS特化型メディア「おすすめSaaS.com」を運営、BtoC企業のマーケティングも支援。