こんにちは。おすすめSaaS.com(当サイト)運営の金森(@user_id_us)です。
今回は、ECサイト構築システムの「Shopify」と「サブスクストア」の利用者に、匿名でインタビューを行いました。通常の事例取材インタビューでは知ることができないような、ポジティブ・ネガティブ含めたリアルな声を紹介します。
「Shopify」と「サブスクストア」のご利用を検討している方の参考になると思います。
Shopify(ショッピファイ)とは
ShopifyはECサイト構築プラットフォームとして、175か国100万ショップ以上に導入されている、カナダ発の企業です。国内では、BASE FOODなど数多くのECに利用されています。
筆者も、Shopifyを利用してECサイトを構築したり、運営に関わったりしておりますが、非常に使い勝手のよいサービスです。
サブスクストアとは
サブスクストア とは、1,400社以上の導入実績のあるシェアNo.1の単品通販・定期通販システム「たまごリピートNext」の後継版であり、サブスクリプション事業において重要な販売・顧客・入金・在庫などの管理と販売促進などを一元的に管理できるクラウド型システムです。
サブスクストア
下記より、Shopifyとサブスクストアを利用された方のインタビュー内容となっております。
まず自己紹介ください
初めまして。これまでの経歴としてはEC業界が長いです。EC企業などを経て、とある企業の子会社で役員としてDtoC事業を運営しております。その会社で、ゴリゴリの単品リピート通販と、インフルエンサーを軸にしたDtoCモデル(Direct to Consumer)の通販事業をやっておりました。
そのため、サブスクストアやShopify、ショップサーブ、futureshop、MakeShopなど、いろんな種類のECカートシステムをつかっていました。
ECカートシステム利用前の課題
全社としてさらに成長すべく、新規事業としてEC、特に成長著しいDtoC領域で攻めることは決まっていました。
ECを始める場合、EC-CUBEや、ゼロからスクラッチ開発する選択肢もありますが、最初は売れるかどうか分かりません。最初からリスクをとる必要はないですし、スクラッチ開発できるほどエンジニアがいません。最初は小さく始めようという考え方だったので、ECカートシステムを利用することにしました。
ECカートシステムの選び方
基本は、リピート性を意識するか否かで、カートの選び方は大きく変わります。
一つ目の商品はリピート性を意識しない商品だったので、他の観点を重視しました。具体的には、UIの自由度や、スマホ最適化、イマドキのデザイン、SNSとのシームレスな連携を強く打ち出しているところを有力候補として考えました。
有力候補のひとつがShopifyやBASEでした。イマドキぽいECサイトを作れるイメージはないのでfutureshop、MakeShopは候補には上がらなかったですね。
なぜShopifyに決めたかというと、2つあります。
1点目は、他社様のカートをエンジニアが見た際に「これはShopifyを使っている」とある程度わかります。有名所がShopifyを使っているし、我々もShopifyが良いのでは、と。
2点目は、FacebookやInstagram、Googleなどとの連携への期待感からです。
BASEを選ばなかった理由
なぜBASEではなく、Shopifyを選んだのか、もう少し詳しく話します。
前提として、ShopifyとBASEでは価格もそれほど大差がありません。会社の規模としても小さい金額差は気にしませんでした。
そこでShopifyとBASEを両方触ったことがある業者さんに「機能差・価格差がそこまでないが、どちらがよいか」と相談したんですね。
その際に、次の観点でBASEよりShopifyがおすすめとアドバイスをもらいました。
・BASEは、Shopifyに比べてデザインにおける自由度が低い
・BASEは、Shopifyに比べてAPIの開放度が低い
BASEは、APIをそれほど開放していないためBASE側で開発が必要であり、仮に機能が足りない時に困るのではと。Shopifyであれば、できないことがあってもサードパーティのシステムを繋ぎこめば何とかなる可能性が高いですよと。
最終的にShopifyを選んだ決め手
端的にまとめると、拡張性とデザインの自由度です。
私はエンジニアやデザイナーではないので詳細はわかりませんが、「拡張性とデザインの自由度が高い」と、BASEとShopifyを両方触ったことがある業者さんから推薦いただいたので、それを信じました。
Shopifyを利用してから10ヶ月程度経ちましたので、その経験を踏まえて、Shopifyをおすすめできる企業、Shopifyのメリットとデメリットをお伝えしようと思います。
Shopifyをおすすめできる企業
単品リピート通販ではなく、ライトにECサイトを始めたい方には良いと思います。我々の場合、月商2,000〜3,000万円くらいコスメを販売していましたが、特に困ることはありませんでした。
Shopifyのメリット
前提としてShopifyで作成したECサイトは、数十SKUくらいの規模のアパレルECです。リピート通販でもないので、世界観を作り込めることを重視しました。
結論、Shopifyを利用することでサクサクと4つのサイトを各ブランドで作成できました。Shopifyではテンプレートが豊富にあるので、制作会社と協力してLPを作成しました。
ゼロからデザインを作るとなるとお金と時間がかかるので、テンプレートを利用した形です。テンプレートベースでもそれほど困りませんし、スマホ最適なLPも簡単に作れるのがよかったです。
Shopifyのデメリット
決済方法別の手数料設定ができない
困ったことは、決済方法別の手数料設定ができないなど、細かい調整が難しかったところです。
例えば、お支払い方法がクレカではなくNP後払いの場合、手数料が1件あたり190円+約3%くらい追加費用がかかるんですね。正直にいって、ご利用者様に300円程度ご負担いただきたい部分ですが、それができないんです。コスメは1,500円くらいの商品なので、300円の負担が変わるだけで利益率が20%変わるので大変なんです。
一方サブスクストアであれば、決済方法Aを選んだ時は手数料が一定量増えて、決済方法Bを選んだ場合は手数料ゼロにするなどが可能です。
ちなみに、クレジットカードは決済手数料をご利用者様に負担させてはいけない規定があります。なので、無料にせざるを得ません。
※参考:「カード決済の場合には手数料をいただいております」、本当は違法? 知らなかった意外な事実
Shopifyにとても詳しい業者様が少ない
Shopifyにとても詳しい業者さんが少ないこともデメリットの一つです。
サブスクストアやリピストのように、ある程度触ったことがある業者さんが複数社いると、困った時にお金と時間があれば何とかできます。
ただ、そうでないと厳しく。例えば、Shopifyでやりたいことを相談した際、しばらく待った末、結局やりたいことができないなど、そういう点には困りました。
業者さんとの連携が上手くいったり、いかなかったりという不確かな状態は、かなりストレスでしたね…。
バックヤード業務のシステムにも詳しい業者様がいない
ECでは、倉庫管理システムなどバックヤードの業務システムと繋げる必要があります。フロントのUI/UXまでわかる業者さんがいても、双方向の情報の受け渡しなどバックヤードまで理解している業者さんはあまりいませんでした。
Shopify自体に問い合わせても回答はないので、細かい相談は支援業者さんにお願いしたいのですが、できる人がいないのが課題でしたね。例えば、Shopifyは分かるけど、物流サービスの「はぴロジ」は分からないなど。
Shopifyの認定パートナーだから安心できるかも…と思ったのですがそんなこともなく。。誰も答えを持っていないので手探りでやるのですが、諸々トラブルもありましたね…。大きい課題です。
単品リピート通販事業でサブスクストアを利用
別事業で、インフルエンサーと一緒にコスメECを運営していました。
アパレルECとは別の事業で、単品リピート通販の商品も取り扱っていました。
お客様に定期コースで毎月購入いただくモデルです。具体的には、初回が480円、2回目は4,980円、5回目以降は4,500円といったイメージです。購入回数ごとのオファー変化、定期購入の解約・復活など柔軟な変更が必要です。
リピート通販をやる場合はこうした柔軟な変更に対応できるカートを選ぶ必要があります。このケースにおいて、よく名前を聞くのがサブスクストア (旧たまごリピート)とリピストの2つなので比較検討をしました。
リピストとサブスクストアを比較検討
結論、リピストとサブスクストアで比較した時に、サブスクストアの方が安かったのでサブスクストアに決めました。
前提として、月商で億単位を目指していました。月商が低い時はリピストとサブスクストアで価格差はあまりなかったのですが、億単位になるとリピストは従量課金が乗るんです。その点で、サブスクストアの方が結局安くなるので、サブスクストアにしました。
もう1回、同じようなことをやるなら、またサブスクストアを選ぶと思います。
サブスクストアのメリットと選んだ理由
サブスクストアは従量課金がないので、規模が大きくなっても費用が変わらないのでコスパが高いです。費用は諸々オプションをつけて、月額数十万円です。
他のECカートシステムでは、例えば1件30円といった従量課金があるものもあります。売上1~2億円となると、月間受注が大体3~4万件。そうなると、システム利用料が4万件×30円/件で、月額120万円くらいになってしまいます。これだと厳しいです。そのECカートシステムでないと機能が足りないわけでもないですから。
※画像参照:1受注に付き30円かかる従量課金のサンプル「ecforce」
サブスクストアのデメリット
これはサブスクストアだけの問題ではありません。
結論、拡張性を考えたうえで、各システムの組み合わせを考えるのがとても面倒でした。例えば、ECカートXは、NP後払いの即時与信機能には対応しているが、Y企業のチャットボットには対応していないといったケースです。
要件を全て満たせる組み合わせを考えなければ、導入ができないので大変でしたね。
システムが重い
一番困ったのは、データ量が多くなったときに、システムが重いことです。データをエクスポートしてExcelで分析したい時など、データ量が何百MBとかになると、2時間かかるくらいかかるみたいな。
集荷の時間は決まっているので、何時までに集荷用のデータを作る必要があるんですね。データを直したい時に、そもそもデータがエクスポートされないこともあるので、そこは困りました。
この件をベンダー側に相談しても、「細切れにしてデータをエクスポートしてください」と回答をもらったのですが、正直不満でしたね。。運用側で解決しなければならないのかと…。
データエクスポートが重くてもサブスクストアを利用し続ける理由
それ以外、大きいデメリットが無かったからです。
こちらの要望も大半はしっかり応えてくれました。ユーザーの声を聞いてプロダクトの改善をしている印象はありますね。
サブスクストアをおすすめできる企業
単品リピート系通販をやりたかったら、サブスクストアは良いと思います。もちろん、できないこともありますが、ある程度のことはできます。
インタビューは以上です。
Shopifyとサブスクストアの利用を検討されている方の参考になれば幸いです。