・価格設定を見直したい
・値上げをしたい
・LTVを上げるべく、顧客単価を上げたい
こんな悩みをお持ちのBtoB企業のマーケターや事業責任者の方を対象に本記事を書いていきます。
昨年、とあるBtoBサービスの価格設定変更のプロジェクトを推進した経験があります。その経験から、学んだことや実施したこと・気づきなどのメモを公開します。同様のケースがあった時に素早く対応するために書いています。なお、MECEに記載できておりませんのですがご了承いただけると幸いです。
「これを見ればバッチリOK!」といった記事ではありませんが、料金プランの変更を検討しているBtoB企業の方には少々参考になるはずです。
料金プラン変更時のプロセス
まず、料金プランを変更する前に、下記の問いに対する答えを言語化してみましょう。意外と考えが及んでいなかった部分もあるかもしれません。
目的の定義
- そもそも、価格設定を変更するのはなぜか?
- なぜ今、価格設定を変更するのか?
- 戦略は何か?
- 価格を変更することでターゲットは変わるのか?
- どのように商談を獲得する予定か?
課題の定義
- サービス提供側として、どんな課題があるのか?
- ユーザーにはどんな課題があるのか?現状のサービスでは解決されないのか?
- 価格設定の変更で、その課題は解決されうるのか?サービスが拡張されるのか?
方向性の決定
- 価格設定の変更に合わせてサービスやサービス提供の方法も変更するのか?
- 値上げ or 値下げするのか?
- 料金プランの数を増やすのか、あるいはそのままか?
- サービスを変更する場合、どんなサービスを新たに行うのか?
- KPIは何にするか?
- 価格変更後、どうやって顧客を獲得するのか?
- 新プランが売れるか検証する術はあるのか?
リサーチ
- 価格:目標から逆算していくらにするのが自社にとって最適か?あるいはターゲットと自社相互にとって最もバランスの良い価格はいくらか?
- 料金プランの名前:どんなネーミングが顧客にとって分かりやすいか?
- 競合他社の価格:ベンチマークしている競合他社の価格も参考程度におさえる
料金プラン変更のタスク洗い出し
- 資料の変更
- サービス資料、お役立ち資料、資料DLメディアなどWeb上でダウンロードできる各種資料から、料金プランの部分を変更
- 全ての資料にズレがないように注意
- 手書きで料金プランの見せ方をすり合わせ・決定してからパワポ資料化
- サービス資料、お役立ち資料、資料DLメディアなどWeb上でダウンロードできる各種資料から、料金プランの部分を変更
- 資料段階でテストマーケティングを実施
- 新規顧客に新料金プランで営業。あるいは信頼のおける既存顧客に直接聞いてみる
- Webサイトの料金プラン部分を変更
- デザイン・コーディング・本番反映まで時間を要する
- Facebook、Twitterなど公式アカウントの料金プラン部分を変更
- プレスリリースの作成・発信
- 料金変更の旨を発信
- メルマガなどで既存リストにも連絡
- 料金変更の旨を発信
料金プランページを作る際に参考になるWebサイト
サービスサイトに料金プランページを作る際に参考になったものを記載します。
価格の詳細は載せない & CVポイントは用意するパターン
・「顧客に競合と比較され値下げ交渉などされかねないため、料金は載せたくない」
・「代理店との絡みがあるから、サービスページに料金表は載せられない」
など、様々な要因で価格をサイト上で公開していない企業も多いでしょう。こんな悩みを持つ方は、「配配メール」の料金ページの見せ方がおすすめです。
詳しい料金は示さず、料金体系を示しています。
そして、料金ページにCVポイントを設置することも重要です。
配配メールで言えば、
・料金表詳細:クリックすると、ページ下のフォームへ移動
・資料請求・お問い合わせ:クリックすると、資料請求フォームへ移動
を設置しています。料金ページを見ているユーザーは、真剣にサービスを検討されている方が多いです。読者の皆さんが、ある程度高価な商品(ex.AirPods)を買おうと思った際、ほぼ必ず料金はチェックしますよね。
BtoBにおいても、それは同じくです。多くの企業はサービス検討時、料金が気になる項目の一つです。ここでCVポイント(ex.資料請求)があればCVにつながりますが、もしなければ「何だ…。価格は分からないのか、上長にも提案しづらいな…」などと、サイトを離脱してしまいます。これは明らかな機会損失です。
料金ページのセッション数はそれほど多くありませんが、CV率が高い傾向にあるため料金ページには必ずCTA(CVポイント)を用意すべきです。
価格設定にまつわる、参考になる記事
Salesforce Venturesの湊雅之氏による良記事。SaaS企業が知っておくべき「料金ページ」の7つの事実をざっくりと解説しています。ポイントを下記に引用させていただきます。
・80%の料金表は、実は料金表非公開
主要SaaS企業250社の料金ページから ひも解く7つの事実
・料金プラン数の平均は3.5プラン
・81%の料金表は「低価格→高価格」順(そして心理学的には誤り)
・69%の料金表は、「ユーザーペルソナ/価値」でプランの違いをアピール
・64%の料金表は、ボタンに「目立つ配色」
・63%の料金表は、フリートライアルを強調
・50%の料金表は、儲かるプランをハイライト
詳細はこちらからご覧ください。
主要SaaS企業250社の料金ページから ひも解く7つの事実
次に、AIヘッドハンティングサービス「LAPRAS SCOUT(ラプラススカウト)」の値上げ事例。顧客に直接聞いて、価格のテストマーケティングをしている点が参考になります。
“値上げ”しても変わらぬ支持。価格と期間、「2つの実験」の成果
その他、参考になる記事もいくつか記載します。
今後も随時更新予定です。参考になれば幸いです。